防災用品体験レポ:第2回

株式会社IWAMAの『ボックストイレSETⅡ』を使ってみよう!

今回、ご紹介する防災グッズは〝簡易トイレ〟です。

震災後のトイレ事情に関しては、以下の記事がとても参考になりますが、ライフラインが大打撃を受けた災害時のトイレ問題は、ある意味、食糧よりも深刻な場合があります。
参考資料 震災によるトイレ問題の発生とその検証(神戸大学附属図書館Webページより)
そのため、近年は非常食だけでなく、トイレ用品に関心を持つ企業も少しずつ増えているようです。

製品の種類が増えるということは、使用する立場の消費者にとって選択肢の幅が広がることを意味するため、歓迎すべきことですが、非常食ならまだしも、簡易トイレを実際に使って試してみるという方は滅多にいないのではないでしょうか。

そこで、簡易トイレとはいったいどのように使うものなのか、使い心地はどうなのか?といった製品の特長や問題点を探るため、市販のトイレ用品を実際に使用してみたので、災害時のトイレ問題に関心のある方は、少し参考にしてみてください。



『ボックストイレSETⅡ』とは?

私の手元には、体験レポ用に購入したトイレ用品を含む防災グッズがいくつかありますが、今回は株式会社IWAMAの『ボックストイレセットⅡ』を使ってみることにします。

実はこちらの製品、当サイトを見てくれた㈱IWAMAの担当者Kさんから、当サイトの体験レポ用にと送っていただいたサンプル品なので、自腹で購入したわけではありません。

しかし、レビューする条件として、Kさんには前もって次の3点を呑んでもらっているので、今回は製品の良いところよりも、問題点はどこかに重点をおきながチェックしていきたいと思います(というのも、マイナス点がある場合は、次回のバージョンアップや製品開発に活かしたいらしいので…)。
さて、今回、取りあげる㈱IWAMAの防災用品『ボックストイレSETⅡ』ですが、失礼ながら、今回のオファーがあるまで、製品に関する知識がまったくありませんでした。

そのため、なぜⅡ?と思ってしまいましたが、少し調べてみたところによると、どうやら、ポンチョがセットになっていないタイプの旧バージョン(?)がⅠに当たるようなので、メインの組立て式ボックストイレに関してはⅠもⅡも特に大きな違いはなさそうです。

では、ケースから製品を取り出す前に、まずは外箱チェックから始めていきましょう!
株式会社IWAMAの簡易トイレ
組立て式のトイレ本体がセットになっている製品だけに、コンパクトサイズとはいえ、それなりの重さと大きさがあります。

そのため、実際に手に持って気付いたことは、外箱の側面に取っ手が付いていると持ち運びしやすいのではないかということです(取っ手があれば、子供でも片手で簡単に運ぶことができる)。

商品名や使用方法、ボックストイレの特徴、組立て方などの基本情報は、すべて外箱の表面にプリントされているため、裏面や側面は無地となっています。

そのため、様々な防災グッズを備蓄する一般家庭で保管することを考えると、側面にも商品名くらいは記載しておいてもらいたいところです(収納の仕方によっては、側面が無地だと取り出してみるまで何の防災用品かわからない)。
セット内容と組立て方
『ボックストイレSETⅡ』のセット内容は、① トイレ本体 ② 便座 ③ 底板 ④ フタ ⑤ ゴミ袋(1枚)⑥ 消臭シート入り処理袋(10枚)⑦ お尻拭き用大判ティッシュ(100枚) ⑧ ポンチョの計8点となります。

排泄に欠かせないトイレ用品は一通り揃っており、さらにポンチョがセットになったことで、野外でも目隠し用の仕切りを設けることなく使用することができるため、あらゆる状況に対応できる簡易トイレであることは確かなようです。

ところで、組立て式と聞くと、不器用な私に作れるだろうかと不安になる方もいるかもしれませんが、当製品のボックストイレの作り方は説明書が不要なほど簡単です。

しかし、それでも不安だという方のために、一連の手順を画像で示しておきましょう。
ボックストイレの組立て方
いかがでしょうか。

素材が単なる紙製の段ボールではなく、耐水性の強化合紙ボードなので、折り曲げ部分がやや硬めなこと、また、便座の角部分の組立て方が少し分かりづらいと感じる方もいそうですが、実際に組立ててみた経験者から言わせてもらうと、それ以外は特に気になるような点は見られなかったので、老若男女問わず、誰でも組み立てること自体はできるはずです。

さて、完成したボックストイレがこちらになります。
ボックストイレの外観
地面から便座までの高さは38cmで、特に低すぎず高すぎずといった具合で、一般的な洋式トイレとそう変わりありません。

一方、便座の方はというと、市販の紙製ボックストイレの便座の形は大きく分けると2タイプありますが、実はこれが意外と重要で、便座の形によって座り心地が変わってきます(中には気にならないという人もいますが…)。

ちなみに、当商品は角が正面に向くタイプであり、個人的には、このタイプの便座の方が座った際の足の位置が比較的自由に動かせるので、個人的には非常に気に入っています(ただし、好みは人それぞれ)。

もし、ボックスタイプのトイレを備蓄用にと考えている人は、ぜひ、便座の向きも選択肢の条件のひとつに加えてみて下さい。
処理袋と座り心地
本体のボックストイレが完成してしまえば、後は附属の消臭シート入り処理袋を広げてセットするだけです。

では、ボックストイレに座るといったいどんな感じになるのか、実際に私(身長175cm)が便座に腰を下ろしてみた画像をアップしておきましょう(さすがに、尻丸だし状態の画像は載せられないので、ジーパンは履いたままです)。

同梱:クマ・ポンチョについて

㈱IWAMAの組立て式ボックストイレが、いったいどんなものであるかは、これまでの説明でだいぶ理解していただけたと思うので、今度はⅡならではの付属品『クマ・ポンチョ』についても触れておきましょう。
クマ・ポンチョの概要
同梱のポンチョ(ポリエステル100%)は、折り畳み式のポーチ型フリーサイズとなっています。

単品でも販売しているようですが、トイレで用を足す際の目隠しとして利用することも考慮されていることから、色は地味は濃紺です。

生地の厚みについては、他の市販品と比べて、必ずしも丈夫で優れているとは思えませんが、木の枝などに引っ掛けない限りは、しばらく繰り返し使えそうです。
クマ・ポンチョを使い方
参考までに、身長175cm(体重65kg)の私が試着してみたので、ボックストイレに座ってみた状態の画像を載せておきましょう。

マツコデラックスさんのような体形だとかなり無理がありそうですが、標準体形の成人男女であれば、体がスッポリと隠れるくらいの余裕は十分あります。

ちなみに、排泄時の目隠しとして実際に試して気付いたことは、いくら大きめのポンチョとはいえ、用を足す際はフタが邪魔になるので、用を足すときはフタを外してから使った方がよさそうです。
クマ・ポンチョのたたみ方
ところで、折り畳み式のポンチョやブランケットは、一度開いてしまうと、なかなか元のサイズに戻らないといった製品も少なくありませんが、クマポンチョに関しては、付属の説明書に従って畳むことで、ほぼ同サイズのポーチ型に戻るようです(私も器用ではありませんが、それでも何度も折り畳み直すことはなかった)。





実験!『ボックストイレSETⅡ』の機能・性能評価

㈱IWAMAの『ボックストイレSETⅡ』がいったいどんな製品なのか、一通り説明してきましたが、今度は製品そのものの性能や耐久性について、少し実験してみたいと思います。
耐久性テスト
まずは、強度についてテストしてみました。

製品説明によると、本体トイレは200kgの体重にも耐えられるようなので、便座の上に立ってみたところ、65kg程度の体重ではびくともしないことが分かりました。

ただし、あくまで四隅に立った場合であり、それ以外の場所に必要以上に力を加えると、折れ目ができてしまうように感じます。

とはいえ、用を足すのにわざわざ便座に立つことはないので、普通に座って使用する分には、十分な強度があるといってよいのではないでしょうか。

一方、便座のフタですが、画像のように穴にはめ込むだけですが、思った以上にしっかりしているので、使い始めの頃は直ぐに外れるようなことはありません。

しかし、繰り返し取り外ししていると、角の部分が劣化してくるので、頻繁に外したり嵌めたりしていると、いずれは緩くなってしまうように思われます。
耐水性テスト
次に耐水性についてテストしてみることにしました。

当製品の素材は一般的な段ボールではなく、選挙用ポスター掲示板にも使用されるボードと同じ製法の強化合紙らしいので、一晩中、水に置いてもヘタらない耐水性能を備えているとされています。

そこで、さっそく風呂場に持ち込み、1分間ほどシャワーでまんべんなく水を掛けてみることにしました。

気になる実験結果の方はというと、まったく問題なし!

一晩水中に置く実験こそしていませんが、1分程度水を掛け続けたくらいでは、強度が落ちてとても使い物にならないということはなさそうです(底面の角がやや湿っていましたが、翌日には乾燥して、ほぼ元の状態に戻っていました)。
吸収性テスト
今度は、消臭シートの吸収性についてチェックしてみました。

本来であれば尿や便を使って実験したいところですが、かなりお見苦しい画像になってしまうので、とりあえず水道水を使って実験です。

当製品の消臭シートは、最大1リットルまで吸収可能な消臭効果のある吸水ポリマーシートが入っているとのことなので、まずは250cc(成人1回の排泄平均:150~250cc)ほどの水を注いでみたところ、液体はほぼすべてシートが吸収してしまうようです。

しかし、新たな消臭シートに今度は500ccほどの水を注いでみたところ、シートが吸収しきれなかったようで、シートを持ち上げると、底にはだいぶ水が溜まっていました。

そう考えると、さすがに1リットルの液体をすべて吸収してくれるほどの能力はなさそうです。
再検証!

商品発売元である㈱IWAMAの担当者Kさんより、次のようなコメントをいただきました。

消臭シートの吸収性の検証につきましては少々不満がございます。弊社の消臭抗菌大容量吸水シートの仕様は1000cc吸水するポリマーを入れてございまして実験された750cc程度は充分吸水すると考えております。そんな検証結果になるかな?と今一度昨日改めて実験してみました。1000ccペットボトル1本の水を入れました。ポリマーは携帯トイレ用の吸水ポリマーとは弱冠違い、吸水に多少時間がかかります。小一時間してから確認しましたら、やはり充分に吸水しておりました。ただ、オムツや生理パットのように触ってもサラサラ!とシートがサラサラになるほど吸水するものではなく、廃棄する際液体が処理袋から流れ出ない為の機能として吸水させますので周囲が「濡れている」程度の水分の残りはどうしても出ます。お手数ですが、再度検証のほうをよろしくお願いいたします。(非常時用トイレメーカーとしては大事なところなので…)

というわけで、さっそく消臭シートの吸水性を再検証してみることにしました。結論から言ってしまうと、1000ccの水を注ぎ、1時間放置した後に汲み取った残り水は約400ccほどなので、消臭シートは600ccほどの液体を吸収したことになります。前回の実験では、水を注いでから5分程度しか時間を置いていなかったので吸収率はあまり高くないと判断してしまいましたが、しばらく時間をおくことで、500ccくらいの液体は十分に吸収するということが確認できました(補足:24時間(1日)後の吸収率は約750ccだったことから、時間を置くとさらに吸収率は上がるようです)。

ちなみに、担当者Kさんより、「サンプル品としてお渡しした吸収シートを使って、こちらで再検証させていただけないか?」との連絡をいただいたので、私の手元に残っている吸収シートをメーカー元に送らせていただきました。

というわけで、Kさんからの返事をいただき次第、改めてこの場にて報告させていただきます。
吸収性の再検証
では、女性にとって特に気になるであろうデリケートな問題、消臭効果についてはどうなのか?

まずは香水を使って試してみましたが、臭いの効果を比較するため、消臭シートとティッシュペーパーそれぞれに吹きかけ、臭いを嗅いでみたところ、正直よくわからない・・・

なんとなく消臭シートの方が幾分臭いが軽減されているような気もしないではありませんが、鼻を近づけると香水の匂いは残っています。

さらに、水に溶かした(?)香水を消臭シートに向かって注いでみましたが、この実験もいまいちよく分からない・・・(汗)。

そもそも、臭いのキツイ香水で実験をやるべきではなかったのかもしれません。

ただひとつ言えることは、まったく臭わない完全無臭になるということだけはなさそうです(ちなみに、処理袋を縛って1日放置した後、袋の外から匂いを嗅いでみましたが、鼻を近づけると香水の匂いはしてきます)。
消臭効果テスト1
さて、最後にセット内容になっている排泄処理袋において、1点ほど気になったことを述べておきましょう。

見てのとおり、当製品の排泄処理袋はすべて半透明なので、袋の外から排泄物がほぼ丸見え状態になってしまいます。
ゴミ袋と処理袋の問題点
最近はゴミ袋の透明化を推進する自治体も増えているので、半透明袋を使っているのは、一般の家庭ゴミとして捨てることも考慮した結果なのかもしれませんが、被災地での協同生活において、中身が見えてしまうような袋は、特に女性にとっては使いづらいように思われます。

そのため、半透明の排泄物処理袋が気になるという方は、各自で中身の見えにくい同サイズのゴミ袋を別に用意しておくことをお勧めします。
◎まとめ
㈱IWAMAの『ボックストイレSETⅡ』を実際に使ってみた上での総合的な評価は、トイレがない(あるいは、汚れているような仮設トイレは使いたくない)ような場所では、間違いなく重宝される一品です。

しかし、耐久性、耐水性は確かに優れていますが、他の廉価版(段ボール製)ボックストイレセットに比べると、価格は倍以上(アマゾン価格:6,000円前後)するため、果たして一般家庭でそこまで用意しておく必要があるのかと疑問に思う方もいることでしょう。

※補足:同商品は、そもそも一般家庭での使用を前提として作った商品ではないようなので、自治体や事業者が備蓄する場合は、また少し評価は変わってきますが…

防災用品としてトイレグッズは、たとえ水が流せなくても、便器が破損しておらず便座に座ることができるようであれば、家庭用の水洗トイレにセットするだけで使用できるトイレ用品(消臭剤がセットになった排泄処理袋のみの商品)も各メーカーから販売されているので、ボックストイレはちょっと高いなと金額に抵抗のある方は、まずは安価な便袋等を検討してみてはいかがでしょうか。

一方、防災用品にかかる費用は惜しまない、あるいは潔癖症の方は、どのような状況にでも対応できるような、この手のボックストイレセットを検討してみる価値はありそうです。



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