震災対策の知恵袋

地震保険の加入率

ここ最近、地震保険を改めて見直す家庭が増えているようです。

1966年にスタートした地震保険の加入率は、一時期、下降に歯止めがかかりませんでしたが、1995年(平成7年)に発生した兵庫県南部沖地震(いわゆる、阪神・淡路大震災)をキッカケに、国民の地震に対する危機意識が高まったこともあってか、その後は徐々に上昇傾向にあります。

しかし、地震保険の加入率が上がっているとはいえ、火災保険などに比べると、まだまだ低いというのが現状のようです。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響により、今後しばらくは地震保険に加入する契約者数も増えると思われますが、日本は世界でも有数の地震大国でありながら、地震保険の加入率が思ったほど伸びていないのはなぜか・・・

その理由について少し分析してみましょう。
地震保険:世帯加入率の推移
H6
9.0%
(+2.0)
阪神大震災
H7 H8 H9 H10
11.6% 13.1% 14.2% 14.8%
(+2.6) (+1.5) (+1.1) (+0.6)
矢印
H22 H23 H24 H25 H26 H27
23.7% 26.0% 27.1% 27.9% 28.8% 29.5%
(+0.7) (+2.3) (+1.1) (+0.8) (+0.9) (+0.7)


地震保険:加入率の推移状況からみた保険制度の問題点

下記に示す資料は、損害保険料率算出機構が公表している地震保険に関するデータです。

この資料によると、地震保険への加入率は、年々、上昇傾向にあることが見てとれますが、その伸び率は思ったほど高くありません。

火災保険の加入率が60%を超えていることを踏まえると、世界でも有数の地震多発国でありながら、いまだ20%台で推移している現状は、まだまだ低いと感じますが、地震保険の加入率が思いのほか上がらないのには、それなれの理由がありそうです。

※ 気象庁のデータによると、世界中で発生(1990年~2009年)したマグニチュード6以上の地震のうち、約20%が日本周辺で起こっています。
年度 世帯数 契約件数 世帯加入率 年度 世帯数 契約件数 世帯加入率
1994年 44,235,735 3,968,835 9.0% 2006年 51,713,048 10,775,335 20.8%
1995年 44,830,961 5,181,407 11.6% 2007年 52,324,877 11,217,390 21.4%
1996年 45,498,173 5,975,416 13.1% 2008年 52,877,802 11,841,278 22.4%
1997年 46,156,796 6,565,221 14.2% 2009年 53,362,801 12,275,087 23.0%
1998年 46,811,712 6,923,684 14.8% 2010年 53,783,435 12,747,680 23.7%
1999年 47,419,905 7,325,847 15.4% 2011年 54,171,475 14,088,665 26.0%
2000年 48,015,251 7,664,480 16.0% 2012年 55,577,563 15,050,169 27.1%
2001年 48,637,789 7,883,873 16.2% 2013年 55,952,365 15,601,783 27.9%
2002年 49,260,791 8,078,780 16.4% 2014年 56,412,140 16,234,325 28.8%
2003年 49,837,731 8,564,002 17.2% 2015年 56,950,757 16,809,257 29.5%
2004年 50,382,081 9,324,901 18.5%
2005年 51,102,005 10,246,735 20.1%
参考:損害保険料率算出機構
地震保険に加入しない理由
地震保険に加入する契約者が少ない理由として、まずひとつめに考えられることは〝保険料の高さ・割高感〟です。

地震保険は単独での加入が認められておらず、通常、火災保険とセットで契約することになります。

そのため、火災保険の上乗せとなる分、地震保険の保険料負担は、思った以上にずっと重く感じられてしまい、加入するのにはちょっと抵抗があるという方も少なくないようです。

次に、2つ目の理由は〝火災保険に比べると、地震保険で保障される保険金額が低い〟ということが考えられます。

簡単に言ってしまえば、地震保険は火災保険の補償額の半額までしか補償されないということです。

これは、建物の再建を目的とした火災保険に対し、地震保険が震災後の当面の生活の安定を目的とした保険制度であることから、ある意味、仕方のないことなのかもしれませんが、加入する側にとって補償額が低いという現状は、やはり大きな障壁になっているようです。

※ 地震保険の契約金額は火災保険の契約金額の30~50%(ただし、建物:5,000万円 / 家財:1,000万円の上限あり)の範囲内でなければなりません。
保険金支払額ランキング
1995年 兵庫県南部地震 783億円
2001年 芸予地震 169億円
2005年 福岡県西方沖地震(3月20日) 169億円
2004年 新潟県中越地震 149億円
2007年 新潟県中越沖地震 82億円
2005年 福岡県西方沖地震(4月20日) 64億円
2003年 十勝沖地震 60億円
2008年 岩手・宮城内陸地震 54億円
2009年 駿河湾地震 45億円
2008年  岩手県沿岸北部地震 39億円


さらに、地震保険の加入率が上がらない理由として考えられるのは〝いつ起こるのか分からない地震に対してお金を払い続けるのは馬鹿らしい〟といった気持ちでいる方が、意外に多いのではないかということです。

確かに日本は、世界一の地震国として知られていますが、家屋が倒壊するほどの大地震が頻繁に発生しているわけではありません。

そのため、いつ起こるのかも分からない、自分の住んでいるところは、きっと大丈夫だろうと危機意識の少ない方にとっては、大地震に備えて、決して安くはない保険料を、毎年、払い続けるのはどうかという気持ちになるのも分からなくはありません。


分析!地震保険 都道府県別 加入率ランキング

先に地震保険に入りたがらない人が意外に多いと言いましたが、地震保険への世帯加入率は地域によっても大きな差があるということが、下記資料からも見てとれます。
加入率の高い地域ベスト10 加入率の低い地域ワースト10
順位 1995年
1 東京 20.7%
2 神奈川 20.3%
3 静岡 16.8%
4 千葉 16.3%
5 埼玉 14.4%
6 愛知
大阪
12.1%
7 山梨 11.5%
8 北海道 10.7%
9 茨城 10.6%
10 岐阜 10.0%
全国 11.6%
順位 2013年 2014年 2015年
1 宮城 50.4% 宮城 50.8% 宮城 51.5%
2 愛知 37.9% 愛知 38.7% 愛知 39.4%
3 東京 34.9% 東京 35.6% 東京 36.1%
4 神奈川 33.1% 神奈川 33.8% 神奈川 34.4%
5 千葉 31.6% 岐阜 32.5% 岐阜 33.6%
6 岐阜 31.3% 千葉 32.4% 千葉 32.9%
7 福岡 31.0% 福岡 32.0% 福岡 32.8%
8 埼玉
大阪
29.0% 埼玉
大阪
30.0% 大阪 30.7%
9 静岡 28.4% 山梨
静岡
香川
29.0% 埼玉 30.6%
10 香川 28.0% 熊本 28.5% 香川 30.0%
全国 27.9% 28.8% 29.5%
順位 1995年
1 沖縄 2.0%
2 佐賀 2.6%
3 島根 3.9%
4 長野 4.3%
5 長崎
山形
4.4%
6 岡山 4.5%
7 愛媛 4.6%
8 山口 4.9%
9 岩手 5.0%
10 富山 5.2%
全国 11.6%
順位 2013年 2014年 2015年
1 長崎 13.2% 長崎 13.6% 長崎 13.9%
2 沖縄 13.4% 沖縄 14.0% 沖縄 14.3%
3 島根 13.9% 島根 14.6% 島根 15.3%
4 長野 16.8% 長野 17.9% 佐賀 19.2%
5 佐賀 17.3% 佐賀 18.2% 長野 19.3%
6 群馬 17.6% 群馬 19.0% 青森 19.7%
7 秋田 18.0% 青森
秋田
19.2% 山形 20.1%
8 山形 18.2% 山形 19.3% 秋田 20.2%
9 青森
富山
18.6% 富山 19.5% 群馬
富山
20.3%
10 新潟 19.5% 新潟 20.1% 新潟 20.6%
全国 27.9% 28.8% 29.5%
       参考:損害保険料率算出機構
このデータによると、加入率上位ランキングの方は、阪神・淡路大震災前後に比べると、比較的、大きな変動が見られます。

また、予想どおりといえば予想どおりですが、東北地方太平洋沖地震の影響により大打撃を受けた宮城県の加入率が2011年は大幅に上がっています。

ここ数年における都道府県別 世帯加入率ランキングは、上位トップ3・下位ワースト3あたりは毎年大きな変化はなく(若干の順位変動はありますが…)、同じ地域が名を連ねていますが、上位ランキングに関しては、地震が頻発する地域、あるいは近いうちに大地震の発生確率が高いと指摘されている地域の地震保険への関心の高さが伺えます。

また、前項で地震保険に入りたがらない理由のひとつとして、保険料の高さを指摘しましたが、こうして地域別に分析してみると、東京や愛知のような保険料の高い地域であっても加入率の高い地域はあるようです。

これらの点を踏まえると、単に保険料が高いから止めておこうというのではなく、実際に被害に遭った時のこと想定し、個々人の環境(経済力や貯蓄、ローンの支払い状況など)や考え方などを考慮しながら、一度、じっくりと検討してみることをお勧めします。
地震保険の付帯率
最後に地震保険の付帯率についての資料を掲載しておきましょう。

付帯率の高い都道府県は《赤色》、付帯率の低い都道府県を《青色》で表示しています。

付帯率とは、一定期間(下記資料の場合は1年間)内に火災保険に加入した契約者の中で、地震保険にも加入した割合のことです。

ちなみに、世帯加入率とは、一定期間(地震保険では1年間の末日)内の地震保険契約件数を総務省の住民基本台帳に基づく世帯数で除したもので、この比率には共済で加入している世帯や火災保険に入っていない世帯が含まれます。
地震保険:都道府県別付帯率の推移
2013年 2014年 2015年 2013年 2014年 2015年 2013年 2014年 2015年
北海道 50.5% 50.8% 51.0% 石川 51.5% 52.1% 53.4% 岡山 49.7% 52.1% 53.6%
青森 59.4% 60.8% 61.8% 福井 54.5% 56.4% 58.0% 広島 62.9% 64.7% 65.7%
岩手 64.0% 65.3% 66.8% 山梨 63.3% 65.8% 67.7% 山口 53.8% 55.8% 57.6%
宮城 85.2% 85.3% 86.2% 長野 49.3% 51.7% 54.4% 徳島 71.0% 71.7% 72.4%
秋田 65.7% 67.3% 68.5% 岐阜 70.7% 72.3% 73.1% 香川 63.0% 64.4% 66.3%
山形 57.3% 59.1% 60.9% 静岡 60.8% 61.8% 62.7% 愛媛 61.2% 62.5% 63.9%
福島 67.0% 68.7% 70.5% 愛知 70.5% 71.2% 71.1% 高知 83.3% 83.3% 84.2%
茨城 59.9% 60.3% 60.5% 三重 64.0% 64.0% 64.8% 福岡 61.3% 62.8% 64.0%
栃木 58.0% 60.5% 62.2% 滋賀 52.7% 54.3% 55.6% 佐賀 42.5% 43.3% 44.7%
群馬 50.1% 52.6% 54.7% 京都 50.3% 51.9% 53.2% 長崎 38.3% 38.5% 39.2%
埼玉 57.2% 58.3% 58.9% 大阪 56.0% 56.9% 57.5% 熊本 60.7% 62.0% 63.8%
千葉 55.1% 55.8% 56.9% 兵庫 51.6% 53.1% 54.3% 大分 59.9% 61.4% 62.9%
東京 55.1% 56.0% 56.8% 奈良 60.0% 61.1% 61.7% 宮崎 72.8% 74.6% 76.3%
神奈川 56.5% 57.4% 58.2% 和歌山 56.8% 58.1% 59.3% 鹿児島 70.8% 71.5% 73.0%
新潟 59.6% 61.3% 62.4% 鳥取 60.4% 62.3% 64.2% 沖縄 51.5% 51.5% 51.5%
富山 48.9% 50.3% 51.2% 島根 53.7% 54.9% 55.5% 合計 58.1% 59.3% 60.2%
参考:損害保険料率算出機構


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